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ネトゲとソシャゲ

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ネトゲというものは複数台PCがあればあるほど有利になるジャンル。

いやぁ、昔はそうじゃなかったんですけどね。

 

 

ゲーム内マネーで自動操作プログラムなどを使って膨大なゲーム内マネーを稼ぎだし

仲介サイトを使ってマネタイズしようとする業者がたくさん増えたことから、運営が業者対策としてキャラクター同士のアイテム交換をだんだん制限するようになっていきました。

 

そして、これとは別に推し進められたデイリー/ウィークリー(日課/週課)という概念。

これは、1日/1週間に決められた回数だけ、運営の指定したクエストや目標を達成すれば通常より良い・たくさんのアイテム報酬が得られるというもの。

ID(インスタンスダンジョン)と呼ばれるシステムも、この頃からはじまりました。

 

業者のキャラクターたちは人間が実際に操作しているわけではなくマクロ・行動記録するBOTと呼ばれるプログラムによって無限・無尽蔵に動き続けるので

 

彼らがゲーム内経済を崩壊させるのを危惧して運営がとった策というのが

 

「一定時間以上の戦闘による報酬をなくす」

「日/週にできるコンテンツの回数に制限を設ける」

 

という、いわゆるスタミナ制・日課制というモノでした。

もともとこれはソーシャルゲームから始まった概念で、ソシャゲ運営というのはいかにプレイヤーたちをゲームに夢中にさせ縛り付けるか・いかにお金を落としてもらうかに特化した思考を日々研ぎ澄ましています。

 

blog.livedoor.jp

www.gamecast-blog.com

 

これはブラウザゲー・ソシャゲ業界で起こった炎上事件の一例。

ほかにもガチャの確率を故意にユーザーごとに操作したり、近年ではトップセールス常連のゲームの運営が「うちのゲームを楽しんでいないユーザーのことは捨てる」と発言していたりと、ソシャゲの炎上事件は枚挙に暇がありません。

ソシャゲ運営というのは他の運営と比べてかなりえげつない集金思考を持っていることがうかがえます。

 

元々アイテムガチャという課金システムはネットゲーム界が先に取り入れていたもので、ソーシャルゲーム界ではスマホが広く普及して日本で流行りはじめてからソシャゲ運営がこのガチャシステムを投入したことで、多くの人々が射幸心を煽られ限度を超えた課金をしてしまう事態となり、

 

「おい!ソシャゲ稼げるらしいぞ」

と聞きつけた同業他社が次々に参入し大課金時代がはじまりました。

 

 

逆に日課システムというものはスマホソシャゲ黎明期から取り入れられていた概念であるのに対して、2010年前後までのネトゲには存在しない概念でした。

 

ソシャゲ運営が考えに考え抜いて、「ユーザーをゲームに夢中にさせ縛り付ける」方法として生み出されたこの日課を、今度はネトゲ運営が逆輸入した形になりました。

 

厳密にはそういった報酬システムをもった期間イベントなどを開催するネットゲームはありましたが、スマホ普及→ソーシャルゲームの台頭によってこの概念が世に広く知れ渡るようになったという感じです。

 

運営としては自分たちのゲームをいかに長く遊んでもらうかとして考えた策であるので一概に否定はできないのですが

一歩間違えば深刻なユーザー離れを起こす諸刃の剣ともいえる仕組みであり、

どちらの界隈においてもこの日課システムがいまの今まで尾を引いています。

 

そんな中ユーザーを束縛しかねない日課システムと、先ほどの業者対策で取り入れられたコンテンツの回数制限・時間制限。

 

これらを運営が同居させた結果、何が起こったかというと…

 

多くのユーザーが「やらなければ損をする」という思考にとらわれ、ただ報酬のためにやりたくないことを渋々やり続けるという現実世界の労働のようなことに。

 

しかも業者のキャラクター・アカウントと時間は無限といってもいいわけですから、

キャラ制限・時間回数制限は無意味に等しいし、日課のおいしい報酬なんかは業者にとっては願ったりかなったりの天国なわけです。

 

そんなわけでこれらの対策はほとんど業者への打撃を与えることのできない、満足にアイテムの取引もできないという、ただ一般プレイヤーを苦しめるだけの策になってしまいました。

 

そんなネトゲ世紀末のような時代でプレイヤー達が取った選択は・・・

 

「俺自身が業者になることだ」

「俺が、俺達が業者だ!」

「パーティ全員俺で報酬〇倍!これはウマい!」

 

と、複数PC・複数アカウント日課を行う猛者たちと

 

「もうついていけない…」

「こんなのがやりたかったわけじゃない」

ネトゲ業界は終わった」

 

と去っていく者たちに分かれました。

 

さらには、やめることも続けることも出来ず、惰性でログインし続ける生ける屍のようなプレイヤーもたくさん増えました。

 

運営がこの日課報酬の取得を前提とした難易度でコンテンツを用意するので

 

少なくとも日課システムの縛りを嫌い自由に生きたがる人は、運営の用意した戦闘コンテンツなどにおいて日課をしっかりこなしている人たちと比べどうしても資産や装備レベルに差ができるので戦力不足でPTに参加できないという事態に。

 

そこに加えて複数アカウントでやっている人たちもたくさんいるわけですから、もう基準がめちゃくちゃなんですね。

 

じゃあ運営はこの問題を解決しようとしているのかというとそうではなく、

そういった不自由を知りながらあえて残して、課金に誘導しようとします。

「ほら、この課金パックで強くなればあなたも参加できますよ?」

 

という運営の声が聞こえてきそうな課金商品のラインナップには

まったくなんて商売だ、と思いますが現にそれで成立してしまっているのだから横槍を入れても意味がありません。

 

ソーシャルゲームでよく飼いならされた廃課金プレイヤーたちは、お金を払えばその世界において絶対的ヒエラルキー上位になれることに愉悦を感じるようになっています。

 

ですからゲームそのものを楽しみたいわけではなく、SNSなどの普及によって集団の中で勝つこと、目立つことが目的になってしまっているプレイヤーも昨今では増え、

難しいレイドを誰よりも早くクリアした、とか

誰も作れないようなスゴイ武器を手に入れた、

みたいな精神的ステータスに躊躇なくお金をつぎ込む人々がいつからかネトゲユーザーの多くを占めるようになってきたのです。

 

需要に合わせて供給しているだけなのだからこれが悪いこととは思いませんが、古き良きゲームたちがガワだけのおぞましい集金装置になっていく様を見ていると、なんだかさみしい気持ちになりますね。

 

買う人がいる限り売る人は困らないわけですから、国が動いてくれでもしない限り改められることはないでしょう。

RMTも課金も、その点では似たような要素をもっています。

 

過去にガチャを法律で規制しようとした官僚の方がいましたが、夫妻そろって謎の死をとげています。

ceron.jp

この件に関してはただの夫婦喧嘩だったとかガチャとは関係ないとかいう見解もありますが、規制する法律があと少しでできそうな矢先の出来事だったのでどうしてもガチャシステムの背後にある大きな闇を勘ぐってしまいます…

 

このようなことがあっても日課で苦しいだけのネトゲを続けたり、やめてもそのうち新しく始めたくなってしまうのは、

過去のあの楽しかった時間をネトゲがもう1度与えてくれるかもしれないと心のどこかで願っているからなのかもしれませんね。